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ゴミ無し汚れ無し(清掃・点検)の目的と効果
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CARLOS GHOSNの日産改革 (技術士・中田賢治)
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■  今、何故また5S運動なのか(5Sと改善)
今、何故また5S運動なのか(5Sと改善)月間誌「技術士」 Nakata Kenji

1950年ごろ、石川馨先生のような日本におけるQC(品質管理)活動の先駆者達の大変な苦労、努力によって、今日のトヨタ生産方式・JITを頂点とする日本の生産性向上運動の夜明けが始まったといわれる。
ここで主題の5S(整理、整頓、清掃、清潔および躾)は、決して新しいものではなく、先の日本式QCの誕生と同時に登場したと考えられる。にもかかわらず、最近の生産現場に、過去になかった程の5S運動推進気運が見られる事は非常に面白い傾向であり、結構なことである。今回は、この点について考察し、今後の経営、現場指導の参考にしたいと考える。
1985年10月に日刊工業新聞社「工場管理」(月間誌)上で5Sに関する臨時増刊号「驚異!5Sテクニック」を企画したが、当時の真嶋一郎工場管理編集長は後日、次のように書いている。

(前略)・・そんな、こんな、がきっかけで「5S」の本を作ってみようと思い、「工場管理」誌で「驚異!!5Sテクニック・整理、整頓、清掃、清潔及び躾」を企画しました。ところで予想したとおり、社内では5Sとは何か、5Sで売れるのか、という議論になりました。10月5日発売、売れ行きはすこぶる好調で、2週間程で完売近くになりました。・・(後略)

この本の序幕はデミング賞の西堀栄三郎先生が序幕を書き、5Sを5人の専門家がそれぞれ担当、事例報告を企業の5S担当者が書くという割り振りである。5Sの中で最重要といわれるのが躾であるが、生産技術者である私がこれを担当する事になり、自分でも驚いたが、編集部の進めもあり、思い切って担当した。
その内容は後述することにするが、この本、予想に反して売れ続け、1995年4月現在、再販26版のベストセラーになっているのである。
最近は5Sに関する実践マニュアル、教育用ビデオ、マンガで見る5Sの本などが相次いで完売されているのみならず、5Sに関するセミナーが、世界中で実施されて大人気なのである。
究極の生産活動、すなわち、乾いたタオルをさらに絞るような、合理的生産活動を実施する上で、5Sはまた、必要とされ、見直されているというわけである。

1. JIT、TQC、TPM、KAIZENと5Sの相関
トヨタ生産方式に代表されるJIT(ジャスト イン タイム)はノンストック方式(在庫ゼロ生産方式)といわれ、「必要なものを、必要な時に、必要な数だけつくる」方式である。最近、JIT、TQC、TQM、TPM及びKAIZENなどに加えてFA、FMS、FMC、LCAなどの略字をみる場合が多くなっている。
これらは全て、経営・現場改善の技法であり、改善テクニックと呼ばれていたものであるが、近年、KAIZENを独立させ、特許を取得し、経営・現場改善に使う場合も見られるようになっている。
FA、FMS、FMC、LCAは工場、製造の自動化、無人化、省人化を意味し、製造設備は熟練を必要としない、押しボタンを押すだけで、高品質の製品が、設定されたスピードで生産されるということである。
つまり、このごろの生産は「設備に頼る方式」であり、技能工の養成が不要(なり手がない)の代わりに設備投資が増大し、設備の有効利用、設備保全について、これまで以上に気を配る必要が出てきている。

人間が、日常、社会生活を快適に、健康に過ごすために、食事を取り、スポーツを楽しみ、時には病院、クリニックにおいて健康状態をチェックするように、製造現場においても、生産設備の保全をする事が経営戦略上、大変重要な要件になっている。
一般的に、自動車の組立ては45-60秒に1台(60-80台/時間)、使い捨てガスライターは1秒間に1個(3600個/時間)といわれるが、これらの部品を納入する下請け企業の製造設備が突然故障で停止し、ばね1個、ピン1本の定時納入が遅れることがあれば、組立てライン上の組立てが不可能になり、半製品でコンベアー上、あるいは、自動組立て機械の上で立ち往生という結果になる。
設備依存型物つくり時代こそ、設備は絶対に故障させられないという背景、必要性からこれを可能にする生産活動が、TPM(Total Productive Maintenance/全員参加生産保全)であることが理解されている。今、生産現場では、TQC(総合的生産管理)と並行に、あるいは、最重要テーマとして、徐々に浸透しつつある。

それでは、TPMにおいて、5Sはどういう位置づけなっているのか、TPM体系図を見て見よう。(図・1)
先ず、TPMは予防保全、事後保全、改良保全及び保全予防から成り立っている。従来の保全活動は、殆ど事後保全、すなわち「故障したら修理する」方式が主流であった。
最近の設備は高価であり、フル稼働させるのは当然であり、設備製造会社のアフターサービス、保全バックアップが万全だから心配不要との意見もあるが、先の理由により賛成しかねる。
最近は、世界的に、予防保全及び改良保全が主流であり、中でも、予防保全が最重要である。予防保全は、設置保全、日常保全、定期保全及び予知保全から成り立ち、日常保全がその中心である。
日常保全は操業保全とも呼ばれ、毎日仕事、生産を続けながら実施される保全活動なのである。
人間も、顔色が良くない、微熱がある、食欲がないなど事前に知って早めに、手当てを実施すれば、入院しなくて済むように、設備を毎日点検、チェックして必要な処置を早めに行えば設備故障をゼロにする事が可能になるのである。

細部にわたって毎日点検ということになれば、設備メーカーや自社の保全マンでは難しい。なぜならば、設備診断の初期段階では、人間の五感が頼りだからである。五感すなわち視、聴、触、嗅覚および味覚を使って設備の調子を、日常生産活動の中で常時チェックする事になり、これは、その生産設備を使用している作業者、オペレータ以外の人間では行えない仕事である。
TPM体系図のうち、日常保全の右側に「清掃点検」の項目が見えるが、これは5Sの中の「清掃」であり、日常保全の中心は清掃ということを示している。
今日、5Sが1950年以来、再びブームであり、JIT、TPMとの相関で敷衍していることを理解して欲しい。

2. 5Sの基本的な考え方
日本において早くからQC(品質管理)の重要性を主張し、日本に産業にその概念を導入し、デミング賞を受賞、南極地域観測隊の第一次越冬隊長、登山家として有名な西堀栄三郎先生も「家庭でも、会社でも、あらゆるところで5Sは大事ですが、躾は最も大切ではないでしょうか」と「驚異!5Sテクニック・整理、整頓、清掃、清潔及び躾」の中で名言している。
私もこの考え方に全面的に賛成である。5S運動の中、躾(S)と整理、整頓、清潔および清潔(4S)は並列関係ではなく、直列、上下の関係にある。躾が人間教育、道徳性の向上を包括する重要な運動であることは、理解したとしても、現実に生産合理化、現場改善は即実施を待っており、躾を完了してから4Sに着手というのでは間に合わないというのが正直なところである。
そこで、「躾が第一で進める5S運動」が必要になってくるが、此処で5Sの基本的な考え方について整理しておかないと、実施時に不都合なので、具体的に定義しておきたい。(図・2)

①「整理」とは、要るもの、要らないものを分けて、要らないものを捨てること。
②「整頓」とは、安全、品質、能率向上になるよう物をおいて、表示すること。
③「清掃」とは、ゴミなし、汚れなし。清掃、点検すること。
④「清潔」とは、整理、整頓、清掃(3S)の状態を維持すること。
⑤「躾」とは、社会人、組織人として行うべきことを正しく守る習慣付けのこと。

以上、5Sの定義については、その表現の仕方に、若干の違いはあっても、その内容に大きな差はないので、ここでは簡単な説明にとどめる。
ただ、「躾」についての、私の意見を補足すれば、上記の一般的定義を少し広く、かつ深く、表現を簡単にする意味で、「躾とは相手の立場で物事を考え行動すること(思いやり)」と改良して表現する事にしている。

3. 5S運動の進め方
過去(1949年以来)、日本における各企業の生産活動の中でQC、TQCが導入され、広く普遍し、さらに深く、綿密な活動が実施されてきている。5S運動の進め方、取り組み方の手法、技法も数多く報告されている。
海外の5S運動を長く支援し、現在も継続中であるが、その結論は次のようになる。
「5Sの理論は簡単であるが、実践が難しい。その理由は、これまでの習慣を変えなければならないからである」
つまり、海外では、5Sを知識として受け入れても、実施はまだこれからという現実をみると、5S運動は、取り組みやすいが、いかに、成功させるのが、いかに難しいかということを示している。

○ 整理上手は捨て上手
整理の上手な人は捨てる決断が早い。世界中の生産現場で、要らないものが山積しており、これでは、ムダが多く、困りものである。製造現場に対するQC活動、5S運動を強く進めていながら、これを提唱、統括する事務、管理部門の5S、特に整理が遅れているのが一般的である。これに関し、コクヨ株式会社の調査をみると非常に興味がある。
事務室にある書類を「要る」、「要らない」に分けて見ると、その割合は、5:5、さらに、この5を、現在の仕事にどうしても必要な書類と使用頻度が落ちて書庫などの外に出しても良い書類に分けると、その割合は2:3になる。つまり、事務室を整理すると、そこの書類の80%を追放できるという結論になる。(図・3)
「いつか使うだろう」の場合は、殆ど使用しないと考えたほうがよく、捨てる勇気を持つことも「整理上手」のコツである。「もったいない」も同様である。
製造現場において、要る、要らない、の区分を明確にするため「赤札・AKAFUDA」(普通、B5サイズの赤い紙)を使用するが、各社、生産計画のもとに、先一ヶ月、先三ヶ月などで、使用しないもの(在庫、設備機械、事務所・工場スペースなど)に赤札を張って整理する。

○ 整頓は目で見る管理
ここで大切な事は、「誰でも、どこに、何が、いくつあるか、すぐに分る」という置き方になっているか、どうかという点である。
街でよく見かける看板、これを現場に掲げる方法を多用するのがよく、設備に貼る、天井から吊るなど現場に最良の方法で対処する。棚や置き場には所番地を付け、誰でも、簡単に集配できるように工夫する。

○ 清掃は点検なり
機械装置、設備の故障を引き起こし、稼働率を低下させる原因として、強制劣化と自然劣化がある。
強制劣化とは、人為的に劣化させているもので、ゴミ、ホコリなどの付着、あるいは不適正な油の使用、油欠乏などにより、磨耗、ガタ、油の劣化、サビの発生、焼き付きなどの進行を早めることになる。また、剛性上の欠陥も強制劣化の重要な原因である。
自然劣化とは、負荷と時間の関係で強制劣化の要因が取り除かれ、機械の精度が良くても、物理、化学の法則で寿命が来れば劣化すること、で周期性を持ったものである。
先に述べたように、TPMの予防保全実施の第一ステップは清掃であり、「自分の設備は自分でまもる」、すなわち、自主保全という観点から、全員参加で機械設備、床面などの清掃を徹底的に行う必要がある。

○ 清潔は、先ず、人間から
清潔は先の3Sを維持、継続することである。最近、超LSI生産工場などの最重要課題は現場をいかに、クリーンにするかであり、整理、整頓は当然で、清掃、清潔が最も重視される。工場内部からゴミ、チリ、ホコリを排除することは勿論、使用する水、空気のクリーン化は絶対条件になる。中でも、最大のチリ、ホコリの発生源は人間であるといわれ、この対策も大変な難題である。
品質管理、PPM時代においては、着用する衣類からのチリ、ホコリの除去、人間の皮膚や化粧品の脱落なども要注意であり、女性作業者は会社、職場では化粧すら制約されかねない厳しさであることを認識する必要がある。

○ 躾は最も大切
先に、躾とは相手の立場で物事を考えること(思いやり)であると定義した。生産現場で行動する場合、常に、この定義に沿って、思いやりをもって行動する社員を育成する必要がある。図・2に示す、道徳性向上は社員モラルのレベルアップ、品性向上は各自の人格、人柄の改良、向上を意味している。
名札をつけ、身なりをキチンとし、笑顔で挨拶は初歩の初歩である。企業組織上の上下、左右、社長から新入社員、また、営業、設計から製造、組立て、検査係りというように、お互いを思い行動することが何よりも大切である。

4. まとめ
以上、近年、世界で実施されている5S運動について略述した。新しい時代の5Sは「清掃」と「躾」が最大ポイントである。
労働集約型物つくりから設備依存型物つくりへの移行による設備の重要性、これを支援する全員参加の自主保全と清掃点検の相関などを理解して頂けたものと確信する。
躾は道徳性向上、品性向上運動であり、人間教育運動にいたる永遠のテーマである。
5S運動の推進、展開は、社内の風通し(人間関係)を良くし、明るい職場を作り、経営の体質改善に直結している。
明日といわず、早速、今日から実行に移して欲しい。

注)
1.QC:Quality Control
2.JIT:Just in Time
3.TQC:Total Quality Control
4.TQM:Total Quality Management
5.TPM:Total Productive Maintenance
6.FA:Factory Automation
7.FMS:Flexible Manufacturing System
8.FMC:Flexible Manufacturing Cell
9.LCA:Low Cost Automation
10.PPM:Parts per Million

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