ワンポイントアドバイス
企業における経営の問題点は現場にあり、 その問題点の解決方法も現場にある。 (中田賢治の経験則)
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レポート
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フランクリンの経験則
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フランクリンの経験則
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「躾が第一で進める5S運動」
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PPMからPPBへ (超高品質の時代)
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■  開発に係わる人財(人材)育成
(1) 開発担当者の創造性開発
技術コンサルタントという仕事の関係上、たくさんの企業社長、トップと会うが、ほとんどの企業の新技術、新製品開発における悩みは、次の三点に集約される。
○ 資金がすくない。
○ 人材がすくない、いない
○ 時間がない、足りない。
これは、開発に必要な3条件が、すべて「ない、足りない」ということである。しかし、今日世界的企業に成長しているソニー、ホンダ、松下のような有力企業も、創業当時は同様だったのである。その中から苦労、努力の結果として今日の地位を築き上げたものと推想する。「資金がすくない、全くない」状況でも、新製品開発は可能であり、開発担当者はプラス思考で業務を進めてほしいのである。
①専用機械、装置を自社製品にするアイデア
一般的に、すべて自社現場において「こういう機械装置がほしい」という要求が発生した場合にその問題を解決するために発注されるのが専用機械、装置である。
つまり要求のあった会社のために設計、製作、据付けされるべきものである。従って設計、加工、組立、据付けおよび将来の保全のすべてを製造会社が実施するのが一般的である。
考えてみれば、これは大変な仕事である。なぜならば、まったく市販されていない機械装置を設計し、加工組立、試運転、納入および据付けまで行うのに受注コスト、納期を決定して受注するのである。つまり、新製品開発をするのに、コストを明確にし、期限(納期)を約束するのと同じである。
非常にむずかしい、リスクの多い仕事といわねばならない。従って専用機械の製造会社のほとんどは多忙の割には利益があがらず、資金繰りに汲々としているといわれる。それは開発であるため、予算を高くみているにもかかわらず、顧客の満足する機械、装置になるまで予想をこえる日数、製造費用を投入する結果なのである。これを最小限に食い止める仕事の進め方の方法があるが別の機会に詳述するとして、今回は主題である「専用機械、装置を自社製品にする」方法についてのべてゆくことにしよう。

まず、顧客から専用機械、装置の引き合いがあった場合に、それを受注するか否かの基準について考えてみる。
○ その専用機械はそのままで、あるいは若干の設計変更で他社で使用可能か否か。
○ 顧客が無条件あるいは一定の条件をつけて、他に販売することを許可するか否か。

先に略述のように、専用機械は非常に苦労の多い受注になるが、他社にも市場があるとすれば試作1台は赤字受注でも、それ以後の受注でそれを取り戻せるし、結果として自社製品になる。また、一定の条件とは、特許出願を共同で行うとか受注コストを見積りよりディスカウントするとかの意味であり、顧客も自社に潜在して保有する技術(ノウハウ)を提供するわけであるから、何か条件をつけてくるのは当然のことである。
このようにして、所定の手続きを誠意をもって解決すれば、専用機械として受注したものが自社製品として生まれかわり、製造、販売することができるようになる。
 開発費用の全部を発注先から製作費としていただき、あるいは少しの犠牲を払うことで新製品を開発したという結果になる。

②受益者より開発費用を分担してもらう
中小企業は将来有望な製品の企画を保有していながら、開発予算がまったくないか、不足しているため、開発着手ができない場合が多いものと考えられる。
私の事務所も中小企業(零細)であり、この点はまったく同様である。この連載にたびたび報告している「MCねじ加工用ツーリング」を企画した8年前には、毎月の事務所必要経費すら不足勝ちな状況であったため、構想を作成した後の試作、実験実施および工業所有権の出願手続き依頼などに進めずに困っていたものである。

そこで、将来この商品を製作し、販売して利益をあげるであろう「受益者」に開発費用を分担していただく方式に踏み切った。工業所有権の出願(日本、米国、英国、韓国、台湾、西独、スイス、カナダおよびフランス)だけで約500万円の費用を必要とし、試作費用、実験費用もすべてこの協力する企業からの支援で賄ったが、その時の条件は次の通りである。
○ 製造、販売する権利を与える(専用)。
○ 工業所有権は共同出願とする。
○ 受益者の私に支払う特許料は製造原価の3%とする。

(2) 担当者の創造性について
開発スタートの第一段階は、情報の収集、知識の集積、受注の事前準備、企画の作成などの仕入れと事前手続きである。
第二段階は、仕込みとひらめきにもとづく創造の過程が重要ポイントである。
まず前者、仕入れであるが、これはもっぱら左脳を働かせて、情報の収集、知識の蓄積をする。高度情報化時代、技術応用時代といわれる今日、とくに重要なことは「学際的な知識」を収集していくということ、他のひとつは「五感(視、聴、臭、味および触覚)によって体験的な情報」というものを豊富に保有することである。
次は後者、仕込みとひらめきである。仕込みとは、醸成および思いつめの段階で、ここで必要な条件は、まずターゲットに対する執念的な状態であり、問題意識をもって一つのことに打ちこむことである。

創造というのは「ひらめき」あるいは「啓示」による新しい発見である。仕込みの段階は左の脳、創造の段階は右の脳が働くといわれ、これがお互いにスイッチを入れかえながら、新しい創造、ひらめきを生み出していく。この啓示(神が人に、人間の力では知り得ないようなことをさとし示すこと)あるいはひらめきの段階では、新しい発想とか認識が生まれる。
ニュートンはりんごが木から落下するのをみて「万有引力の法則」を発見したとか、アルキメデスが風呂の中で、王冠を傷つけずに金か否かを見分ける目的からアルキメデスの原理を発見したといわれるが、まさに右脳の働き、すなわちひらめきによる成果といえよう。

さきに説明した「MCねじ加工用ツーリング」の開発中にも私は貴重な経験をしている。それは仕込みとひらめき、つまり醸成と思いつめである。構想を作成するための執念的な状態と問題意識をもって開発に打ちこんでいた時のことである。
この装置の中に「直線の上で百分の一に減速」するという問題点があり、なかなかよいアイデアが生まれない。そうしたある日、山梨県の要請により甲府市に出張、新宿から乗車したがあいにく満席、立ったまま八王子駅を通過するころ、次のようなひらめきが頭の中を走ったものである。
この列車は松本行。松本の近く豊科町に親しくしている会社ハーモニックドライブシステムズがあり、この会社の主力商品はハーモニックドライブ減速機。これは直線の上で減速が可能。ここまでの啓示はほんの数秒であろう。ちょうど、大月駅で席も空き、着席するや即構想図を書き始めた。あまりのうれしさでつい夢中になり過ぎて、列車が甲府駅に到着したのに気がつかず、乗り越しに気がついたのは韮崎駅の少し手前だったのである。

アルキメデスが原理発見の折り、あまりのうれしさにハダカのまま風呂から街に飛び出したといわれているが、同じ心境といえそうである。
MK鋼の発明者として世界的に有名な三島徳七先生は「私がMK鋼を発明したときは、日曜とも知らずに大学へ行って、大学に着いたら門が閉っている。ああきょうは日曜だったのかといってとぼとぼ帰ってきたものだ」と弟子に話していたということである。
創造の条件として、異質な豊饒な仕入れとともに、開発、研究者の内面的心理状態が重要となる。まずもっとも基本的なことは、執念的な状態、打ち込みの状態をつくるということである。

日本人の脳の特性について、東京医科歯科大学の角田教授は「右脳の直観力、ひらめきを大いに働かすには、問題意識をもって左脳を徹底的に鍛えておく必要がある」といっているが、われわれの周囲にいる多くの鋭いひらめきをもった経営者、開発者をみていると、かれらはきわめて問題意識を強くもって、つねにそれを考えつづけている人であることがわかる。
このような視点から製品の研究、開発担当者の人選を実施するとすれば、次のようになるものと考えられる。
○ 素直な性質である
○ タイムカードを気にしない
前者は仕入れ、すなわち情報収集、学際的知識の吸収、五感による体験情報などにかかわる重要な性質である。「自分の保有する情報が遅く、少量で悪質である」と考えるならば、素直に反省し、保有情報を早く、多量、良質になるための努力をしようとするものである。
後者は仕込み、すなわち醸成、思いつめ、情熱にもとづく執念、問題意識・打ち込みにかかわる面を表現する部分である。
開発、研究は完了するまでの時間無制限一本勝負であり、タイムカードを気にして「5時だから帰宅して、残りは明日」的な人間には不向きな仕事であるといえそうである。

(3) 右脳とひらめきの手順
さきに新製品開発における仕入れ、仕込みについて詳述したが、次はかんじんのひらめき、すなわち啓示、ひらめき、新しい発想・認識をどうやって出してゆくかということである。
これは右脳の働きが重要な要素となる。ブレークスリー「右脳革命」(大前研一訳)によると、人間の脳は図2のように左右の脳からなっており、そのそれぞれの左右の脳の機能は次のように解明される。
「人間の言語能力が主として脳の左半球に存在することは、ほぼ一世紀前からわかっていた。左側の損傷は会話障害を起こすが、右脳の傷は会話に支障をきたさない。こういうことがわかっていながら、ごく最近に至るまで、脳の機能は左右両半球でどう分担されているかを正しく評価する作業は着手されていなかった。
このことを解明する端緒になったのは、ロジャー・スペリー博士とその門下生ミハエル・ガザーニャ、ジェール・レビーの三人が1960年代に始めた歴史的な分割脳の実験である。この実験によって、手術で左と右に分割された脳の思考能力を左右別々に調査することができた。そして脳の各半球は、それぞれ一連の意識的かつ固有の思考形態や固有の記憶能力をもっていることがわかった。それにもまして重要な発見は、両半球は基本的にまったく異なった方法で考える、ということであった。すなわち、左脳は言葉で考え、右脳は直接感覚的概念(イメージ)で考えるのである。

こんなわけで、脳の二つの半球は、相関関係にあり、左側が言語と論理的な思考を扱い、右側は言葉に置き換えがたいことを扱っている。右脳は言葉でなくイメージ(映像、心象)で考えることによって、群集の中から一人の友人の顔を見分けるといった作業をする。論理型の左脳にとっては、こうした作業はまったく苦手である」。
 新しい開発をする人間というのは、右脳の発達した人間が多いが、これも論理的構造にきちんと組立てていくという左脳の働きがなくては生きてこない。とくに開発者としてすぐれた人というのは、最初の段階で左脳の論理的な情報の解析とか問題意識の煮詰めとかがしっかりしていて、これを右脳に切りかえて発明、発見という創造的な働きをし、もう一回これを論理的な構造に組立てていく。つまり右脳か左脳かということよりも、むしろ右脳と左脳のスイッチをうまく切りかえられるような左右脳のバランスのとれる人がすぐれた開発者といえそうである。

以上のように、脳には右脳と左脳があって、それぞれ独自の働きを保有していることは理解したが、「新製品開発」の視点で日本人の脳の働きをみるとどうなのだろうか。このことは、長年この業務に関係している当事者として大いに興味のあるところである。
角田忠信著「日本人の脳」によれば「日本人の行動はどちらかというと左の脳によってコントロールされる場合が多い。これが日本人の創造性にやや問題がある原因ではないか。直観的な全体把握というような右脳の働きが、本来日本人の場合には抑えられている」と報告されている。

両方の脳のバランスが大事だといわれながら、実は日本人の場合、左の脳に非常に大きく偏ってしまっているケースがしばしばみられる。左の脳で科学的なものに取り組むと同時に、右の脳で音楽を聴いたり、絵をかいたりという動的な仕事を積極的にやり、左の脳と右の脳を活性化していくことが必要のようなのである。
日本人は、このように左脳人間であるから、試験をして論理的な考えの良否をテストしてみると国際比較をしてみてもつねにトップクラスに位置している。大阪大学今堀宏三教授の報告をみると中学生の理科の成績で日本は世界のトップにあることが明記されている。
このように、左脳が役割となる記憶や論理についての能力では、日本人は優れている。この成績比較をもとにして、ただちに日本人の能力評価することは大いに危険である。問題は、創造力を担当する右脳能力がどのように発揮できるかということである。これら両脳の発達の源は教育であるが、左脳はもちろん、左右脳のバランス的発達と交互のスイッチができるような仕組みを教育にどう入れてゆくかというところまで考える必要があるのである。
右脳をきたえるには、なるべくクラシック音楽を聴くとか、気のおけない友人、知人と自由なディスカッションするとか、現場での五感体験をするのがよいといわれる。
私のところにも若い所員2名がおり、以上のほか仕事に直接関係のない社会教育運動に関係するとか、広く内外の工場見学旅行に参加させるようなチャンスを与えるようにしている。

(4)人材育成について
「玉磨かざれば光なし」
玉も掘り出したままで磨かなければ、光を放つ玉にはならない。人もそれと同じで、すぐれた才能をもって生まれても、学問したり修養したりしなければ立派な人になることはできない。
集英社刊「暮らしの中のことわざ辞典」には上のように書かれている。
折角縁があって入社してきた新人をいかにして新製品開発、新技術開発のできる人材に養成していくか、これの成否は社長、トップの思想、実行にかかっているといえるのである。
具体的な事例については、HP「開発情報」独自性について考える、をお読みください。

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